兵庫県知事 貝原 俊民 殿
 
 
武庫川ダム建設事業計画環境影響評価概要書に対する意見書
 
 
平成12年2月9日
武庫川を愛する会
代表 谷田 百合子

 表記、武庫川ダム建設事業に係る環境影響評価において、下記に示す内容を当会、及び、当会501名の会員の意見として提出致します。
 特に、概要書の作成、及び、公告・縦覧の手続きを再度実施することを強く要望致しますとともに、環境影響評価の実施にあたっては、下記の事項について綿密な調査・研究等を行なうことを強く要望致します。
 また、その過程において、新河川法に謳われる住民の意志確認・参加の精神を尊重し、本事業計画に疑問を持つ住民等の参画も図られ本事業計画の透明性・公開性が期されること、係る調査・研究等の実施により、国の環境基本法・鳥獣保護法・環境影響評価法等の法令の規定及び精神を遵守し、これらと同等若しくはそれ以上のより厳しい基準から、本事業の自然環境に与える影響を評価することも合わせて要望致します。
 尚、本意見書は、環境影響評価概要書に対する意見書であることから、財政・経済の側面における意見(費用対効果、費用負担・回収、経済効果、雇用促進効果等)については割愛しています。今後、これら財政・経済的側面についてのアセスメントも実施され、政策評価の透明性・公開性が図られることも合わせて要望致します。
 
 
− 記 −
 
 
1. 形成過程から見る地質・地形の評価
地質的に老齢期−浸食が進行し今の地形に
中生代白亜紀頃の火山活動による地層
表層は地下圧の少ない海底堆積層による軟弱層
海底隆起により現在の山地形成
準平原面のうち、河川の下刻作用(浸食)により形成され典型的先行河川(渓谷)化した武田尾渓谷
この浸食に伴う扇状地性低地である武庫低地(宝塚・伊丹・西宮・尼崎の4市の平野部)
これらの地質・地形形成過程は、武田尾渓谷の形成は非常に長い時間の経過によるものであることを表し、周辺地層も古いと考えられる
武田尾渓谷が先行河川化した理由に、流線にあたる地層が周囲に比べ軟弱である可能性も考えられる
武庫低地における武庫川の流線は幾度となく変わり今の流線に落ち着いたとされる
武庫低地自体が昔から氾濫原のようなものといえる
 
地質的に多様−不安定要素
ダムサイトは上流三田盆地(台地)・下流武庫低地(扇状地)・六甲山系・大峰山系の地質的・地形的・形成過程的に異なる4要素の境界接点に位置する
1箇所に地質・地形・形成過程の異なる地質要素が集中する場合、地質的に不安定である場合が多いと考えられる
 
地質的に脆弱−風化が進行
火山活動により形成された流紋岩質の火山砕屑岩を主体とする有馬層群
有馬温泉・宝塚温泉に火山の名残が現存
ウィルキンソン工場の炭酸水に代表されるように温泉・地下水の酸性が高い
太古に火山活動があり、地質的には風化が進行
酸性地下水も風化を促進
ダムサイト上流域も同様の有馬層群が広がり、下流域・河床堆積土砂の供給源である可能性が高い
穴あきダムがこれだけの土砂流下能力を備えるか疑問
流下土砂が他の要因とあいまって放流口閉塞につながることが考えられる
 
 
2. 地質・地形から見る自然環境の評価
地質・地形が古い−生態系も静的安定期・成熟期に
生態系が安定期・成熟期であればあるほど、小規模の環境変化でも、その影響が連鎖的に拡大し壊滅的ダメージにつながる可能性が大きい
 
地質・地形の形成過程・年代が同じ−生態的類似性・固有性が高い
地域的に地質・地形の形成過程・年代が同じ地域は、生態系的に類似性が高い可能性がある
同時に、その地域が地域的広がりを持たない場合、生態系的に固有性が高い可能性がある
このような地域については自然環境の空間的連続性に着目して捕らえるべき
大峰山系〜宝塚〜中山〜山本〜川西ニュータウン〜猪名川渓谷にかけての一帯、及び、六甲山系はこれらの条件を満たす各々別の地域群
大峰山系一帯、六甲山系で各々異なる固有の生態系が形成されている可能性が高く、個別に環境調査の必要あり
同時に、いずれの地域群においても広い範囲にわたり大規模な宅地開発が進み、自然環境の残存率は非常な勢いで低下
開発による分断・縮小・点在化は種の多様性にとって危機的状況をもたらす
1つの地域群の消失は、種の多様性が織りなす(途方もない数の組合せの末につくりあげた)1つの固有性の消失に等しい
 
形成過程の異なる地質・地形が隣接−多様性・特異性の宝庫
1箇所に地質・地形・形成過程の異なる地質要素が集中する場合、異なる生態系の境界接点でもある
異なる生態系の境界接点では、種の多様性において特に多様さ・特異性を増す場合が多い
ダムサイトは上流三田盆地(台地)・下流武庫低地(扇状地)・六甲山系・大峰山系の地質的・地形的・形成過程的に異なる4要素の境界接点に位置する分、多様性・特異性も高いと考えられる
 
形成過程の異なる山系が点状隣接−陸生動物にとっての唯一の移動ルート
ダムサイトは上流三田盆地(台地)・下流武庫低地(扇状地)にはさまれ、六甲山系と大峰山系とがかろうじて唯一接する地点でもある
特に山岳系動物にとっては唯一の移動ルートであり、重要地点といえる
 
 
3. 武庫川河川現況
河川現況
越堤水の減勢・堤防補強等の洪水対策・治水の役割を果たすとされる河畔樹林帯が下流・中流域沿川に形成されている(100〜200年程度前からの治水対策)
現在では道路・橋梁等・各種土地利用により河畔樹林帯の伐採・分断・縮小が進行し洪水対策としての機能が著しく低下
高水敷の拡大・恒常化が広い範囲で見られ、また、レクリエーション施設と化している地域もある
高水敷に対するコンクリート護岸がほぼ全域にわたって施され、高水敷の補強が強固なものとなっている
高水敷の拡大は河川容積(断面積)の縮小を意味し、洪水確率がそれだけ高くなる
本来ならば河川流水(特に洪水時)による高水敷浸食が河川容積(断面積)の拡大に作用するが、補強・恒常化によりこの作用は失われている
武庫扇状地性低地を形成した上流部からの土砂供給は現在もなお継続してあり河床への堆積・河床上昇といった形で確認される
住宅・工業・商業用地の河川隣接が進み、都市化の進行に伴う危険接近が見られる
河川隣接は洪水時の浸水被害の拡大をさらに進めるものである
河川隣接に伴い洪水時の緩衝材となる氾濫池の減少が著しい
 
 
4. 武庫川流域概況
流域概況
三田市・西宮市北部・宝塚市における武庫川本流・支流の集水域に位置する山間部・平野部(原野・田畑)の開発(住宅・ゴルフ場・工業団地等)が急激かつ広範囲に進行(新三田周辺・中国道西宮北インター周辺・名塩周辺・宝塚駅周辺・清神荒〜売布〜中山〜山本山手地域・生瀬橋〜宝塚駅の武庫川南岸・宝塚南口〜逆瀬川〜仁川〜甲東園山手地域・宝塚市〜伊丹市〜尼崎市平野部・西宮市平野部)
特に支流部では、農業用水路も含め河川改修が進みコンクリート3面張り・直進的な人工河川化が顕著
開発域では調整池の埋め戻しが行われ、また、ゴルフ場の調整池は事実上機能していないのが実態
 
 
5. 治水対策の必要性についての要因分析
洪水要因
上流・中流域の武庫川集水域の山間部・平野部開発に伴い、山間・平野の有する土壌保水力が大幅に減少(一時滞留水の減少)
同開発に伴う土壌表面のアスファルト・コンクリート化により土壌への透水能力が著しく消失(地下浸透水の減少)
一時滞留水・地下浸透水の減少に伴い河川流量自体が増加
同開発に伴うコンクリート製雨水道の整備により流下速度・流下能力の上昇が著しく、かつ、河川直結化が進行
河川改修によるコンクリート3面張り・直進的な人工河川化に伴い流下速度・流下能力が上昇
河川流量の増加、及び、流下速度・流下能力の上昇に伴い河川への急激な負荷集中が見られる(支線→支流→本流)
同開発に伴い土壌流出源の拡大と相対的な土壌供給量の増大が予測される
これら上流・中流域における広範囲にわたる自然環境の破壊や人為的作為による集積作用が洪水要因の第1因と考えられる
これらの相乗効果から、降水開始直後からの急激な武庫川水位の上昇と晴天時の流水枯渇という極端な変化を生じており、流域の危機意識の希薄さ・危険接近・災害時の被害拡大を招いている
同時に、こうした急激な変化は、特に、流域全体の自然環境の保全・維持・持続の面において非常に大きな破壊的要素を伴う現象である
 
浸水要因(主に下流域)
洪水要因に起因する下流域での河川満水化に伴う排水先の消失が主な要因として考えられる
しかし近年の下流域における河川改修の結果、一部の局地的要因を除き浸水被害は解消している
潮受堤防運用上の人為的ミスによる災害発生事例もある
 
 
6. 治水対策としてのダム方式の評価と代替策の検討
武庫川ダム建設計画の妥当性評価
洪水要因・浸水要因から判断するに、武庫川ダムが洪水要因を根本的に解決するものでは決してなく、流域全体の包含する洪水要因や危険性はダム建設後も依然として残存し続ける
上流・中流域における広範囲にわたる自然環境の破壊や人為的作為の集積である洪水要因や危険性に対し、ダム、及び、その周辺地域にその負荷を一手に受け止めさせることが現実的解決であるか、果たしてその負荷に耐えうるか甚だ疑問である
こうした洪水要因を謙虚に直視して本計画の妥当性を検証した形跡が見られず、一度、根本的な洪水要因の把握にはじまる洪水対策の検討を行なう必要がある
武庫川ダムの流量調整機能は機能し一応の効果はあると考えられるが、その流量調整機能ゆえに、大雨・長雨等、ダムの流下能力(放流量)・湛水能力を超える多量の降水時におけるオーバーフローやダム決壊、山地決壊等の2次災害、いわゆるダム災害の誘発が懸念される
武庫川ダムは、洪水要因(水の供給)を断たずして破れた袋のほころびを繕うかのごとくである
上流、及び、ダムサイトの地質や開発に伴う相対的な土壌供給量の増大予測、山間都市型河川ゆえの異物(ゴミ・草木・倒木等)流入からダム放流口閉塞の可能性が懸念され、また、閉塞かつ湛水時の対応は非常な困難を伴う非現実的なものと推定される
ダムサイト周辺のみならず流域全体に及ぶ多大なる自然環境への影響をもってして、その治水効果、及び、危険誘発を考慮するに本事業計画の妥当性は疑わしいものである
流域全体に及ぶ自然環境の破壊・消失・変化等の影響を環境損失として数値的に把握し、洪水時の経済損失、洪水確率、財政負担等と合わせて総合的に評価すべきである
 
代替策の検討
洪水要因の対策として、上流・中流域における一時滞留・地下浸透機能の向上と河川流下速度の減速が効果的と考えられる
上流・中流域における一時滞留・地下浸透機能の向上策(総合治水)
 透水性アスファルト・コンクリート舗装 − 道路交通の安全性向上策としても効果的であり運輸関連事業との統合事業としての推進も可能
 自然河川化改修(河岸透水・河床透水)
 多自然・近自然型河川工法による河川化改修
 植林・土壌回復 − 地球温暖化対策事業との統合事業としての推進も可能・土砂流出対策効果もあり
 森林回復(人工植林地(主に針葉樹林)の落葉樹林化) − 地球温暖化対策事業との統合事業としての推進も可能
 学校等の公共用地を利用した調整池機能(用地よう壁のかさ上げ等)
 ため池整備
 水害保証を伴う農耕地の降雨時調整池化(あぜ道かさ上げ)
 家庭用雨水槽配備
 排水制限(風呂・洗濯等)
 ゴルフ場調整池
河川流下速度の減速策
 自然河川化改修(蛇行・植物護岸・流態多様化(瀬・淵等))
 在来河川工法(近自然型工法)による氾濫池機能の確保(信玄堤)
 在来河川工法(近自然型工法)による流下速度の減速(聖牛)
 
 
7. 環境影響評価概要書の検討
適用対象とする関係法令の拡大
自然公園法 − 事業対象地域は瀬戸内海国立公園の東端からわずか1.5kmに位置し、隣接的直接・間接の環境影響は十分に考えられる
兵庫県立自然公園条例 − 大峰山系〜中山〜川西ニュータウン〜猪名川渓谷は地質・地形形成過程を同じくし自然環境・生態系の類似性・固有性が考えられることから、これらの地域は一帯として環境影響評価がなされるべき、これらの地域には県立自然公園の指定を受ける猪名川渓谷県立自然公園が含まれる
緑豊かな地域環境の形成に関する条例 − 事業対象地域は三田市・宝塚市・西宮市の3市市街地に隣接し、地形・生態系上多様性に富む自然環境であり、地域住民のみならず親水・レクリエーションの場として定着している
景観の形成等に関する条例 − 事業対象地域は三田市・宝塚市・西宮市の3市市街地に隣接し、地形・生態系上多様性に富む自然環境であり、地域住民のみならず親水・レクリエーションの場として定着している
都市緑地保全法 − 事業対象地域は三田市・宝塚市・西宮市の3市市街地に隣接し、地形・生態系上多様性に富む自然環境であり、地域住民のみならず親水・レクリエーションの場として定着している
急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律 − 準平原面に打ち勝って典型的先行河川化した武田尾渓谷は渓谷高100〜120mの急崖を伴う地形であり岩石の崩落の多く見られるが、ダムは多目的ホールを伴うレクリエーション色の濃い計画である
地すべり等防止法 − 事業対象地域は有馬・宝塚温泉など現在にもそそ名残を留める太古の火山活動により形成され、現在ではかなり風化が進行した有馬層群に位置する
 
事業主体と調査者、及び、使用文献・資料の関係における客観性・公平性・透明性の確保
兵庫県を事業主体とする本事業の環境影響評価の事前調査実施者が、兵庫県を所轄官庁とする(財)ひょうご環境創造協会である
兵庫県を事業主体とする本事業の環境影響評価の事前調査で使用され、本来の環境影響評価にも代替充当される予定となっている文献・資料には兵庫県の作成した「兵庫の貴重な自然−兵庫県版レッドデータブック」からの出典が多い
概要書は兵庫県事業についての兵庫県管轄機関による兵庫県調査データに基づくものであり、客観性・透明性・公開性に欠け、新河川法の住民意志の尊重・反映の精神に逆行する
第3者機関による客観的かつ十分な調査データに基づく環境影響評価を実施すべきである
 
兵庫県環境基本計画との整合性
本事業計画は、「ニュータウン開発や工業団地の造成による自然環境の減少等の環境の変化を指摘し、土地利用の適正化、保水力の増強など水質・流量両面にわたる流域の総合的な対策」を求める「兵庫県環境基本計画」を否定するものである
 
調査方法・調査内容に対する意見
既存の文献又は資料の収集・整理により行われた事前調査をもって、本来実地調査すべき環境影響評価の多くの事項に代替するとしているのは本来論を逸脱した行為であり、かつ、調査の十分性・完全性からも認められない
鳥類調査の基礎データとして使用されているデータは事業対象地域より約8km離れ渓谷環境とは異なる山中に位置する地点でのデータであり事業対象地域の環境を直接的に評価し得るデータとはいえない
哺乳類・爬虫類・両生類・昆虫の基礎データは約20年前の1981年のものだけであり事業対象地域の環境を評価するに十分なデータとはいえない
野生生物に関する基礎データは植物相・陸生動物・水生生物のすべてに渡り種の確認・列挙、概数表記程度に留まり、生態・生態系・生息域・行動範囲・行動パターン・繁殖地・生育環境・分布・時系列増減傾向の実績および予測等を把握できる資料ではない
本事業計画以降に作成された「兵庫の貴重な自然−兵庫県版レッドデータブック」での武田尾渓谷のCランク指定について、客観性・公平性・透明性に疑問がある
形成過程を含め異なる様相を呈す4つの地質・地形(三田盆地・武庫扇状地・六甲山系・大峰山系〜猪名川渓谷)の境界接点という特異な地域であり、自然環境の多様性・特異性・固有性は十分にあると予測される
視点場(地形・地質・生物・生態系・景観)4箇所の内3箇所がダムサイト周辺と偏りが見られ、また、軽箇所は観測地点としては少なすぎる
湛水域に含まれ、かつ、移動ルート・吸水・捕食に適す瀬・淵・砂州の分布する野生生物の生育環境として重要な地域が視点場(地形・地質・生物・生態系・景観)に含まれていない
レクリエーション調査地点2箇所の内1箇所は主要ルートを外れた地点であり、武田尾渓谷のレクリエーション価値を正当に評価し得るとは考えられない
現況調査の内容(実施日程・時間帯・場所・頻度・サンプリング数・方法)、及び、調査結果が記載されておらず、住民意見の検討・提出が事実上不可能である
バッチャープラント建設等が含まれると考えられる周辺整備事業の内容についての詳細検討・開示がなされておらず、住民意見の検討・提出が事実上不可能である
特に野生生物に関する調査は種の確認に留まり、野生生物の種・生態・生態系・数・生息域・行動範囲・食相・行動パターン・繁殖環境・生育環境・分布等についての調査・検討がなされている、若しくは、計画されているとはいえない
事前調査・現況調査の結果よりまとめるとする生態系の状況については、自然環境の循環メカニズムを把握する調査(種・生態・生態系・数・生息域・行動範囲・食相・行動パターン・繁殖環境・生育環境・分布等)が実施されていないことから不可能・不十分と考えられる
予測計画の大半を占める定性的予測は予測・検討方法として非常に曖昧であり、かつ、客観性に欠ける方法である
希少種に限定的な予測計画自体、生物多様性・生態系の保全・維持に対し意味を持たない
 
調査方法・調査内容に求める事項
大峰山系に連なる中山〜川西ニュータウン〜猪名川渓谷への調査対象範囲の拡大
(これらの地域一帯は地質・地形形成過程・年代を同じくし自然環境の類似性・固有性が評価・検討されるべきでありながら、これらが顧られることなく、すでに広範囲にわたり大規模宅地開発が過去・現在も進行している)
伊丹市・西宮市・尼崎市への調査対象範囲の拡大
(河川中流域でのダム建設、かつ、下流域の治水を謳う計画であり、下流域・河口・汽水域における直接的環境影響は避けられない)
環境影響評価対象地域における実地のフィールド調査の実施
(概要書では、既存の文献又は資料の収集・整理により行われた事前調査をもって、本来実地調査すべき環境影響評価の多くの事項に代替するとしている)
野生生物の種・生態・生態系・数・生息域・行動範囲・行動パターン・繁殖環境・生育環境・分布等についてのダムサイト、湛水域における現地調査の最低限義務付け
(概要書はダムサイトとの位置関係や調査時期的に妥当性を欠く生息種データのみの列挙に留まる)
国内・国際的に見た分布・生息数対比による地域希少種・固有種の抽出
(当該地域の多数種であっても広域では希少種・固有種であり得る)
過去の開発等による自然環境の連続の分断・縮小・点在傾向についての議論・検討
進行中(大峰山砕石等)、及び、計画済(宝塚新都市計画等)の開発計画を含めた環境変化の予測
中・下流域の生物の生育要件(土砂・養分・栄養素・食物等)の解明とその供給源・供給形態の調査
(生育要件の多くは上流域より供給されることが多く、ダムはその供給を分断する可能性が極めて高い)
魚種・年齢・流速別魚道シミュレーション(放流口の魚道効果についての、材質・長さ・形状等を同じくするモデルにおける実験)
洪水時湛水に伴う自然環境の消失範囲・面積の特定と消失種・数についての検討
洪水時湛水に伴う自然環境の消失範囲の隣接域における生物の種・数等の変化についての検討
工事用道路・資材置場・バッチャープラント・ダム本体等ダム建設工事、及び、試験湛水に伴う自然環境の消失範囲・面積の特定と消失種・数についての検討
工事用道路・資材置場・バッチャープラント・ダム本体等ダム建設工事、及び、試験湛水に伴う自然環境の消失範囲の隣接域における生物の種・数等の変化についての検討
ダム堤体による陸生生物・水生生物の行動阻害、及び、これを要因とする弊害についての検討
予測計画と異なる想定外の事態が生じた場合の事業・工事の一時中断・停止・中止を含む対応策の検討
現況調査のみならず過去からの時系列的変化・推移・傾向についての予測計画の議論・検討
時系列的推移調査、及び、現況調査に基づく将来傾向についての予測計画の議論・検討
形成過程を含め異なる様相を呈す4つの地質・地形(三田盆地・武庫扇状地・六甲山系・大峰山系〜猪名川渓谷)の境界接点という特異な地域であることによる自然環境の多様性・特異性・固有性についての議論
総合治水・在来河川工法等のダム以外の代替施策とダム建設との環境影響比較
動植物・昆虫・菌類・水生植物・水生昆虫等の野生生物全般を対象とする調査
野生生物全般、中でもとりわけ、次の類の属する種についての特に入念な調査−当該地域の自然環境の循環サイクルにおける食物連鎖の頂点に位置する種(猛禽類等)・希少種・絶滅危惧種・地域固有種等・河川生物(魚類・水生生物等)を捕食する種
生息種、及び、季節変動種(渡り鳥や鮎・なまず等)についての終日・通年観測
(終日観測:同一地点ついての、時間帯や生物種におけるねぐら・猟場・移動地点等としての役割を把握することを目的とする調査)
(通年観測:渡り鳥や海との遡上・流下魚類等の生物種・数、及び、それらの種における営巣・・繁殖・休息・捕食地等としての役割を把握することを目的とする調査)
生息種、及び、季節変動種についての時系列増減傾向の実績把握、及び、将来予測
循環サイクルとしての生態系についての調査・研究
自然環境・生態系の形成時期、及び、年齢の特定
(一般に、成長過程にある自然環境・生態系は環境変化・破壊に対し柔軟な対応が可能、一方、成熟期・安定期にあるそれは、環境変化に敏感・デリケートであり、連鎖反応により壊滅的ダメージへ拡大する危険性が指摘されている)
生息数についての時系列増減傾向の実績把握、及び、将来予測
生息域、及び、行動範囲についての終日・通年観測
食相(食物の種類・量等)についての終日・通年観測
行動パターン(特に、遡上・流下・沿川移動・渡川移動)についての終日・通年観測
繁殖・生育環境としての終日・通年観測
繁殖・生育環境としての時系列増減傾向の実績把握、及び、将来予測
分布についての終日・通年観測
分布についての時系列増減傾向の実績把握、及び、将来予測
DNA分布調査
(DNA分布調査:一定地域内のある生物に着目した遺伝子配列の類似性についての調査で、生息域・分布域としての隔絶性や種の存続性を把握することを目的とする調査)
自然河川における水質浄化作用の把握とダム建設後の水質変化の予測
試験湛水・洪水時湛水における水質悪化作用の把握(湛水しない穴あき効果の水質面からの証明)
試験湛水・洪水時湛水における悪臭の発生予測
河床堆積砂レキの成分分析と供給源分布域の調査
地質・地形形成過程の異なる六甲山系、及び、大峰山系〜中山〜川西ニュータウン〜猪名川渓谷一帯の間の地質的安定度の把握
(一般的に、異なる地質・地形形成過程を経た地質の境界接点は地質的に不安定といわれる)
太古の火山活動により形成された火山砕屑岩を主体とする有馬層群の風化状況、及び、対策状況(特に、建設省による六甲山系の治山・震災復旧対策等)
準平原面のうち、武田尾渓谷が下刻作用により典型的先行河川化した過程、要因、及び、流線の変遷等の解明
(準平原面のうち特定の箇所が先行河川化する場合、当該箇所の地質が軟弱である可能性が高いといわれる)
堤体による平常時、及び、洪水時の流況変化の予測(特に、ダム直上の河床浸食・放流口内の流速・土砂堆積量)
ダム直上・直下、及び、放流口内の堆砂シミュレーション(ダムサイト岩盤崩落も含む堆砂状況(量・形状等)の予測)
土砂堆積・岩盤崩落・異物流入等を含む堤体存在(平常時・洪水時)による流況変化の予測に基づく放流口の閉塞可能性予測シミュレーション
土砂堆積・岩盤崩落・異物流入等による放流口閉塞の可能性についての考慮・検討
土砂堆積・岩盤崩落・異物流入等による放流口閉塞時の環境影響要因の検討
土砂堆積・岩盤崩落・異物流入等による放流口閉塞時の危険性、及び、対策方法の検討
転流工事〜周辺整備工事のすべての工事フェーズにおける生コン、及び、コンクリート凝固促進剤などの工事用資材等による水質汚濁(有害物質・底質)、及び、土壌汚染の可能性検討
洪水時の放流による騒音・振動発生の可能性の検討
堤体による地盤沈下の可能性の検討
工事用道路・資材置場・バッチャープラント・ダム本体等ダム建設工事、及び、試験湛水に伴う景観の破壊についての検討
洪水時湛水に伴う景観の破壊についての検討
以上
© Copyright 1998-2001 MUKOGAWA WO AISURUKAI